事例2−2
  夜間、違法駐車車両に原付が追突。
      どっちが悪い?・・・その2
事故の概要
 被害者A(22歳)の運転する原動機付自転車(以下「A車」)は、平成8年10
 月7日午後11時24分頃、進路前方の路上に駐車していた加害者Bの所有す
 る自家用大型貨物自動車(以下「B車」)の後部に追突したものである。
 この事故により被害者Aは脳挫傷、頭蓋骨・下顎骨折、右血胸等の傷害のため、
 翌10月8日午前1時に死亡した。
裁判所の判断
平成13年1月26日 千葉地裁判決
「駐車車両に65%の過失」
(1)加害者Bの責任
 ●加害者Bは、すぐ近くに自宅の車庫があってそこに駐車することが可能で
  あり、事故現場に駐車しなければならない合理的な理由はない。

 ●現場は、その直前の道路の状況と比較しても非常に暗く、対向車も少なく、
  障害物を発見しにくい場所であることなど、
駐車することの危険性を熟知
  していた。

 ●加害者B自身が
以前に同じ道路の反対側付近で同様の衝突事故を発生させ
  た経験がある
のにもかかわらず、駐車禁止規制がある道路に、深夜、法定
  の大型後部反射器を設置せず、汚れて反射能力が落ち、かつ、全体として
  後部が見にくい状態のB車を、幅1.4メートルというかなりの広さのある
  路側帯からさらに1メートルも車道にはみ出した状態でそのまま駐車放置
  し、事故を発生させたものであるから、その責任は明らかである。

    
※加害者Bは、この判決以前に業務上過失致死罪で簡易裁判所より
      罰金50万円の略式命令を受けていた。
(2)過失相殺の有無程度
 (被害者Aの過失)
   被害者Aは、
制限速度を少なくとも10キロメートル以上超過する速度
   で事故現場にさしかかり、そのまま速度を緩めることなく進行したため
   B車の発見が遅れ、右方向に進路を変えてB車の右側を通り抜けようと
   したが間に合わず、B車の右後部にA車を衝突させたものと推認できる。

 (過失相殺の割合)
   ●違法駐車に衝突する事故については、障害物の放置責任という責任の
    実質を見据えた上でそれぞれの事故ごとに、通常の運転中の車両同士
    の衝突事故以上に、前提事実が細かく確定され、分析された上で適正
    な過失割合が考えられるべきである。
    すなわち、事故現場の状況や双方の車両の動静、具体的な過失の態様
    が細かに検討され、参酌されるべきである。
   ●具体的には、現場の状況、ことに見通しの良さや明るさ(昼間か、夜間
    の場合の照明状況等)、道路(車道、路側帯)の幅員、違法駐車車両の大
    きさ、発見のしやすさ(車両後部は汚れていたか、駐車車両を発見しや
    すくするための何らかの措置が執られていたか等)、衝突車両の車種、
    速度、その他事故を取り巻く諸般の状況が注意深く検討される。
   ●これを本件について見ると、前記(1)で認定したとおりであるが、
    特に

     @事故現場が市街地でありながら、
非常に暗い場所であったこと
     AB車が障害物としての危険性がより大きい大型車両であるのにも
      かかわらず、法定の大型後部反射器が設置されず、かつ、後部が
      汚れるなど
発見のしにくい状態に置かれていたこと
     B加害者Bが、以前に同じ道路の反対側付近で同様の衝突事故を発
      生させた経験があり、
衝突事故の発生を具体的に予見できる立場
      にあった
にもかかわらず、あえて違法駐車を行ったことは、加害
      者Bの過失割合を考えるに当たって考慮される。

    そして、このような加害者Bの過失と対比すると、被害者Aの速度超
    過の過失は、その過失が同人の死亡という重大な結果の発生に関係し
    ている点を考慮に入れても、相対的に見る限りは小さいものといわな
    ければならないとし、被害者Aの過失割合を35%と認めた。

 一般的に駐車車両への衝突事故の場合「突っ込んだ側
 が悪い」的な判断で、追突した側の過失を6割以上と
 しており、この判決は今後の違法駐車が関係する事故
 の裁判の先例になるでしょう。

 しかし!
   ・・・いずれにしても“痛い思い”をするのは
             ライダーとその家族ですよ。


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